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小暮式1分間ゴルフ
【小暮式1分間ゴルフ】, ゴルフ用語

PFGAのゴルフルール講座③〜DJルール改正〜

2017年1月20日

ゴルファーの皆さん、
こんにちは。藤原慶昌です。

皆さん、昨年の全米オープンチャンピン
誰だったか覚えていますか?

ダスティン・ジョンソン
です。

最後は2位に3打差をつけて、見事にメジャー初優勝を果たしました

このビッグゲームで勝者のダスティン・ジョンソンが陥った、ルールに関しての大騒動がありました。
それが、

DJルール

もう半年以上前の話です。
まずはその出来事から振り返っていきましょう。

最終日を首位と4打差の2位でスタートしたジョンソン選手。
問題となったのはその最終日の5番ホール。
ジョンソン選手は1.5mのパーパットを打とうとした直前、動作を止めました。
そして競技委員を呼び
「ボールが後方に動いたかもしれない」
と自ら申告。
まずこの段階での全米ゴルフ協会(USGA)競技委員の対応は‘パターを地面に置く前(アドレスする前)にボールが動いた’というジョンソンの訴えを聞き入れ、そのままプレーを続行させるというものでした。
ジョンソン選手はこのパットを決めて5番ホールをパーとしました。

しかしその後、複数の競技委員が映像を見直した結果、ボールが動いたのはアドレス後で、ジョンソン選手の動作が影響したとの見解が浮上。
その間もプレーは進み、ジョンソン選手が12番に入る際に競技委員は、
※ラウンド終了後に再協議する事
※1罰打が加えられる可能性がある事
を伝えました。
つまり、この段階で全米プロゴルフ協会(USGA)が出したアナウンスは、
5番ホールで施した処置は、ひとまず保留に。
“とりあえず18ホールのプレーを頑張って、最終的には1打罰が加わるかもしれないよ”という解釈にもなり兼ねない、なんとも残念な対応でした。
結果、ジョンソン選手は今後のゴルフ人生が大きく左右されるかもしれないメジャー大会の優勝争いの真っ只中、1罰打の不安を抱えながら残り7ホールをプレーしなければならないという奇妙な事態に陥ってしまった訳です。

この対応では、仮にジョンソン選手が首位タイで終えた場合、または後続に1打差をつけて首位でホールアウトした場合、1罰打が加わる事により、戦況が大きく変わります。

私もリアルタイムで一連の流れをを見ていましたが、もしそうなったらどうするんだろう、、と。
このUSGAの対応は理解し難いものでした。

そして結果的にはジョンソン選手がリードをさらに広げて、後続に4打差で最終18番を終え終了。
ジョンソン選手がルールのトラブルを跳ね除けた形となりましたが、結局ホールアウト後に1罰打を受け、5番はパーからボギーに変わり、3打差での優勝となりました。

さて、話をルールの点に戻しましょう。
まず今回波紋を呼んだこのペナルティーですが、
“プレーヤがインプレー中に、球の動く原因となることをした場合は1打罰”
というルールに基づき課せられた罰打です。(ゴルフ規則18-2)

このルールの基準が非常にややこしいです。

前述の一連の経緯を見ても分かるように、今回のジョンソン選手の状況では、ボールが動いたのが、
“アドレスの前か?後か?”
が一つの基準となっています。

球の動く原因がアドレス前であれば、プレイヤーの関与はナシ。
球の動く原因がアドレス後であれば、プレイヤーが関与する可能性アリ。
という解釈が生まれます。

ジョンソン選手は、ボールが動いたのは‘アドレス前’だからプレイヤーの関与は無く、無罰での処置だという主張です。
USGAはその主張を‘一度は了承’しましたが、その後改めて検証し‘アドレス後’だと見解。
結果的には‘アドレス後’にボールは動いたという解釈に。
但し、ボールが動いた原因がプレイヤーだという確証もなく‘原因は不明’という裁定に。

映像を見る限り、ジョンソン選手が素振りをし、アドレスに入る前、即ちパターヘッドをソールする前に動いたと感じパターヘッドをヒョイっと上へ上げているように見えます。
私はジョンソン選手にボールが動く原因を作った動作はなかったように思いますが、、

兎に角、どんなにややこしいルールでも、誰かが判断しなければなりません。
この件はUSGAが委員会裁定としてプレーヤーが動かしたと判断し裁定したのだから、それはそれで尊重しなければならないし、仕方がない事です。

しかし、このケースは裁定に至るまでの手順が悪すぎました。

A.プレーヤー自身がボールが動く原因を作った場合は1罰打を付加して、元の位置に戻してプレーしなければなりません。
競技委員を呼んで確認した結果、その場ではジョンソン選手に原因はないとし、競技は‘無罰でボールが止まっている位置からプレー再開’で続行されました。
B.しかしUSGAは裁定を覆し、ペナルティが課される可能性をジョンソン選手に12番で通告し、結果的にボールが動く原因にプレイヤーの関与は確認できなませんでしたが‘ボールが動いた原因は不明’と判断。
ホールアウト後に1罰打を付加しました。
C.この結果では、本来であればA.でボールを元の位置に戻してプレーしていないため“誤所からのプレー”のペナルティも課されてもおかしくありません。

最後までスッキリしない裁定ですね。

そして選手・メディアから猛烈な批判に晒された、このUSGAの残念な対応に昨年末、一つの結論が出されました。

USGAとR&Aは、
“意図せずして偶発的にグリーン上でボールが動いた場合は、無罰で元の位置にリプレースできる”
とするルールの改正を発表しました。
このルール改正は今年の1月から施行されています。

ゴルフのルール改正は4年に1度、五輪開催年です。今回は‘早急に改正が必要な特殊ケース’とみなされ施行されました。

ともあれ、このUSGAとR&Aの迅速な対応は良かったと思います。

ジョンソン選手のようなケースが起こった際には、
“故意でなければ無罰でリプレース”
できるという一つの基準ができた事は大きな前進ですね。

次回のルール講座では、
この‘ボールが動いた時’の処置やパターンをもう少し詳しく考察していこうと思います。

………………規則要旨……………

◯ゴルフ規則18 止まっている球が動かされた場合
18-2 プレイヤーやパートナー、またはそのキャディや携帯品により
規則によって認められる場合を除き、プレイヤーの球がインプレーの場合で次のときは、プレイヤーは1打の罰を受ける。
(ⅰ)プレイヤーかパートナー、またはそのどちらかのキャディが次のことをしたとき。
•球を拾え上げたり動かしたとき。
•故意に球に触れたとき(アドレスの際にクラブが球に触れたときを除く)。
•球の動く原因となることをしたとき。
〜以下省略

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